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谷税理士法人のためになる話「ためばな」。当事務所のスタッフが朝礼時にスピーチした「ためになる話」をご紹介しています。

nisa口座とTOB

今日はnisa口座とTOBについての少しマニアックなお話しをさせて頂きます。まずnisaとは2014年からスタートした投資を行うための非課税制度です。通常株式や投資信託を運用すると、配当金や売却益に20.315%の税金が発生しますが、nisa口座にて取得した株式等から得られる儲けには税金が発生しなくなります。ただしメリットばかりではなく、1年間の投資の限度が120万であったり、nisa口座で取得した株式等から発生した損失は他の口座の株式等の儲けとは相殺できないといった注意点もあり、これがnisaの概要です。
 
次にTOBとはある会社が別の会社の経営権を取得することや、子会社化することを目的に買付期間、買取株数、買取価格を公告し、不特定多数の株主から株式市場外で、株式を買い付ける制度のことです。この間の「半沢直樹シリーズ」を見られていた方は電脳雑技集団が、スパイラルを買収するために使っていたあれです。
 
ここでTOBの対象となっている株式を所有している株主は、TOBに応募して買付価格で売却する、TOBに応募せず、市場で売却する、そのまま保有を継続するという選択肢があります。この時そのTOBの対象株式をnisa口座にて所有している時が今日の本題です。
 
まずNISA口座を開設している証券会社が公開買付代理人なのかそうではないかによって取り扱いが異なります。公開買付代理人とは公開買付社が買付代金の支払い等の事務を代行している証券会社等のことをいいます。NISA口座を開設している証券会社がこの代理人である場合にはそのままTOBに応募することができ、譲渡益は非課税となります。例えば取得価格100.市場価格150.買付価格200なら200-100の譲渡益が非課税となります。
 
次にNISA口座を開設している証券会社が先程の代理人でない場合には、そのままTOBに応募することができません。まず、NISA口座から特定口座に移動し、その後代理人の証券会社等の口座に移動して、TOBに応募することになります。この時非課税となるのはNISA口座から特定口座に移動した時であるのみなので、取得価格100.市場価格150.買付価格200なら、NISA口座から特定口座に移動した時に、150-100の50が非課税となり、特定口座から代理人の証券会社等の口座に移動後、TOBに応募すると、200-150の50は税金の対象となります。
 
実際にはTOBの間は市場価格が買付価格に近づいていくことが考えられるため、市場で売却をすれば最初のケースと同じくらい恩恵を受けられると思いますが、税金の制度にはこうした特殊なケースでの落とし穴があることもあるため、制度の再確認は必要なことだと感じました。
 




本日の発言者:池浦
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